ほうほうほたるこい

ホタルが飛びかう季節となった。幸せなことに、仕事場にしている古い民家のまわりや帰り道でゲンジボタルの飛光をみることができる。毎年、最初に気づくのはゴールデンウィークの頃。風雨がなく、少し蒸し暑く感じるような日の19:30-21:30頃によく飛んでいるようだ。

四万十市権谷地区や三原村亀ノ川地区で住民手作りのほたるまつりが催された(20140609高知新聞)。土佐市の加茂川親水公園では一時期みられなくなっていたホタルが住民の環境保全活動によって舞い戻った(20140611高知新聞)。

ホタルの光はひとを惹きつける。子どもが喜ぶ姿をみながら、大人も嬉しくなる様子が記事からほのぼのと伝わってくる。せっかくなので、ホタルについてもう一歩深く知るクイズはいかがだろうか。3題ほど。選択肢のなかから選んでみてください。

1.ホタルのなかまは日本に何種類いる?

(1)約10種類(2)約20種類(3)約40種類。

このような質問をすると「ゲンジボタルとヘイケボタルは知っている。他にもいるとして10種類くらいかな」という回答が多い。けれど正解は「3」。ホタル科の昆虫は日本では約45種が記録されており、世界にはなんと2,000種もいるのだ。

2.高知のゲンジボタルは、どれくらいの間隔で光る?

(1)約1秒間に1回(2)約2秒間に1回(3)約4秒間に1回。

正解は「2」。西日本型のゲンジボタルは約2秒に1回(1秒光って1秒休み)発光する。その発光間隔に雌雄差はなく、雄が飛翔しながら光を放ち、樹木や草の間にいる雌が返信する光を探して交尾にいたる。雄が接近したときに雌が強く発光することもある。まさに光を用いたコミュニケーションである。おもしろいことに東日本型のゲンジボタルは約4秒間に1回光る。境界付近の新潟県や静岡県には3秒間に1回発光する中間型もいる。ヒトでいえば方言が異なるということか。遺伝的にみると2秒型から4秒型が派生したと考えられ、西側のゲンジボタルを東側に移動させても本来の発光パターンを維持するらしい。この場合コミュニケーションをとるのはなかなか難しそうだ。

3.ホタルの幼虫が棲む場所のうち、最も種類が多いのはどこ?

(1)森のなか(2)川のなか(3)海のなか。

「ホタルの幼虫は川のなかにいてカワニナを食べて育つ」と聞いたことがあるかもしれない。だが、幼虫が水生生活をおくる種類は、本州・四国・九州ではゲンジボタルとヘイケボタルの2種のみ。その他の幼虫は陸生生活をおくる。海にはさすがにいない。よって正解は「1」。

山の斜面で金色のフラッシュ光(0.5-1.0秒周期)をはなつヒメボタルも陸生ホタルである。オオマドボタルという陸生ホタルもいる。腹部に発光器をもつ幼虫が人里近くの農道や林道、農耕地と林道との境界あたりの森のなかに生息している。幼虫が光るということは、つまり「秋のホタル鑑賞」ができるということ。

条件の良い場所で、農道や林道わきの斜面をゆっくり観察してみてほしい。地形やヘビやハチには充分注意して。林内にはいる必要はなく道路わきから。すると、しだいに林床で光るものがみえてくる。最初はわからないけれど、目が慣れるとしだいにみえてくる。ふと気づけばあちらにもこちらにも。

以前、バングラデシュのガンジス川河口域で魚類調査をしているとき、夜間停電になったことがあった。宿舎の屋上にのぼって闇をながめていると、ちらほらとみえていたホタルが一斉に明滅を繰り返すようになった。このような同時明滅は探雌効率を高める行動であると考えられている。不揃いだった発光パターンがシンクロしていく風景はとてもとても美しい。

高知には良いホタル観賞スポットがたくさんある。初夏にはゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルの飛光を鑑賞し、秋にはマドボタル類が棲む森を観察するというのはいかが?

20140623 高知新聞 掲載(加筆修正)

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