川は身近なワンダーランド

川に入って いろんなことを試してみる

高知の川の特徴や魅力はなんだろう。豊かな水環境を持続可能な地域づくりにつなげるには。

水と人との関係について考える「第18回水シンポジウム2013inこうち」が高知市の市文化プラザ「かるぽーと」で開催された(20130823 高知新聞)。シンポジウム当日、会場では、日本水フォーラム報告、基調講演、テーマ別分科会、四国水問題研究会報告、全体会議などが行われた。第二分科会「豊かな水環境を活かした持続可能な地域づくり」に、私もパネリストとして出席させていただいた。その時の話題が冒頭の2点である。

さて困った。高知の川の特徴はなんだろう。自身の経験を振り返りつつ絞り出したキーセンテンスが次の三つである。

  • 潜って遊べる美しさ
  • すぐ近くにあるワンダーランド
  • 人と川の独特の距離感

潜って水の中を見ることができる川の環境は、意外にも他の地域では少ないもので、高知の川の顕著な特徴だと思う。夏にはあちこちの川で水中メガネをつけて泳ぐ人たちの姿がみられる。川を水面上から見る風景もよいが、水のなかに入って顔をつけるともっと多くの情報量を体で感じることができる。

川は子どもを大人にし、大人を子どもにするワンダーランドだ。水中メガネをつけてゴリや川エビを捕り、その解説をしてくれる子どもたち。実習中に楽しくなってしまい、なかなか川の中からあがってこない大人たち。高知のすごいところは、こんな空間がすぐ近くにあることではないだろうか。

川への関心が高い点も高知の特徴だと思う。新聞にもよく川の記事が出ている。日常生活に近いと言ってもいい。いつもは気にしていないようでも、近隣の方々に川について聞いてみたら、子どもの頃の川遊びのこと、採った魚やエビのこと、増水が怖かったことなど、話題は尽きず、様々な思い出を語ってくださる。

大学生の研修をおこなう際、「あなたにとって良い川とは。そのイメージをA4サイズ1枚に簡単に描いてください」という宿題を出して、その絵を使いながら自己紹介をしてもらうことにしている。皆それぞれ興味深い絵を描いてくれる。これまで川に入った経験がなかった学生は、高知にきて初めて自分が育った地域の川はどうだったかと想像し、今後も川との関係を考えたいという感想もあった。

さて、このような特徴や魅力をもつ高知の水環境を持続可能な地域づくりにつなげるにはどうすればよいか。魅力だけではなく悪くなりつつある点もあるはずだ。これまでは自然環境を低下させることにより経済的利益を得てきたが、今後は「より深く知ること」や「自然を再生すること」が新しい観光などの地域資源になりはしないか。

「百の愚痴より十の提案、十の提案より一の実践」という言葉を聞いたことがある。高知の川に感謝して、一の実践につなげたいと考えている。

20130902 高知新聞 寄稿

error:
タイトルとURLをコピーしました